増上慢(2)

(続き)

僕は、今後も似たような選手が数多く出てくると思っています。
と言うのも、サッカーで海外移籍したがっている選手を見ると、
国内で敵がいなくなるほど活躍し、
よりレベルの高い場を求めて海外を求める
というケースが多いプロ野球選手と違って、
Jリーグでそこそこ程度にもかかわらず、
欧州はレベルが高いからそこにいけば上手くなれると妄信し
日本にいてはこれ以上成長できないと決めつけ、
環境を変えるというきっかけを求めているという、
見方によっては逃避している選手が多い気がします。
きっかけはしょせんきっかけにすぎず、
(ただし、僕はきっかけというのは
生きていく上で非常に大事なものだと思っていますので
決してきっかけを求めることを全否定しませんが)
そこから先に進めるかどうかはその人の想いの強さ次第です。
しかし、本当に強い想いを持っている人なら
国内でそこそこ程度で止まるようなことはあまりないはずです。
結局、海外に行っても中途半端な想いは思い描く成果を産まず、
逆に実戦の機会を失って自分の本来の動きを忘れてしまって
国内でかつての地位を取り戻すのにさえ苦労するという
選手が今後もたくさん出てくるのではないかと思うのです。
つまり、海外移籍がサッカー選手の逃げ道的選択肢となり、
素質のある選手が大成できずに終わってしまう
という場合が数多く起こる可能性すら孕んでいる
と僕は考えているのです。
まあ、こういったことはサッカーに限らず
どんな分野でも起こりうることでしょうけど。

さて、話を戻します。
ここ10年で日本のサッカーレベルは確かに劇的に成長しました。
そして、その成長を促したのは
言うまでもなくJリーグの存在だと思います。
しかし、そのJリーグが停滞している現状、
海外移籍が諸刃の剣のような要素を抱えていることを考えると、
今後しばらくは日本のサッカーレベルも停滞状態に陥る
可能性も無きにしも非ずだと僕は思っています。