看破(2)

(続き)

現五輪代表には、Jリーグで成長することで
レギュラーの座を勝ち取った選手が多いです。
かつてこの世代が谷間の世代と揶揄された頃とは
メンバーがかなり入れ替わっています。
例えば、この世代(現23歳以下)が3年前に挑んだ
ワールドユースのメンバーには
松井も田中達もいませんでした。
共にJリーグでレギュラーを獲得し、
大きな成長を遂げることで
その後この世代の代表に加わり、
そして最終的にレギュラーの座を獲得していったのです。
逆にJリーグで結果を残せなかった選手は
どんどん脱落していっています。
数年前まではこの世代のエースストライカーだった田原豊(現サンガ)、
かつてこの世代で挑んだアジア大会で得点王になった中山悟などが
その代表的な例でしょう。

そして、レギュラーについてですが、
この世代のレギュラー争いは本当に過酷なものでした。
例えば上の2人を例にとりますと、
松井にはかつてのこのチームの司令塔である
山瀬という強力なライバルが故障から復活しましたし、
トルシエ時代にA代表の経験のある前田もいました。
また、田中達にもA代表の常連である大久保だけでなく、
同じくJリーグで成長した高松、
ワールドユース得点王である1つ下の世代の坂田、
さらには高校生の怪物平山など
数多くのライバルが同じポジションにいました。

しかし、この過酷な競争も
最終的には多くの人に分かりやすい形で決着しました。
それは、アジア最終予選直前の3試合のテストマッチでした。
山本監督はここで中身の濃かった選手を
レギュラーとして選びました。
僕自身も大変分かりやすかったですし、
おそらく多くのファンも
最終的に選ばれたレギュラーに
それなりに納得できたのではないでしょうか。
そのテストとなった3試合の対戦相手がいずれも
質の高いチームだったというのも良かったです。

最後の最後であの大久保までもがメンバーから外れましたが、
これについても個人的には仕方ないと思いました。
A代表の影響で五輪代表にほとんど帯同しておらず
チームにフィットしない可能性を孕んでおり、
コンディションもよく分からない大久保を
中途半端に選ぶよりは
韓国戦で十分機能していた田中達・平山の2トップを
採用するのは当然の選択だと思います。
同じA代表でも石川らには
適当な代役が見当たらなかったということでしょう。

(続く)