言近旨遠

イノセンス』を見ました。
押井さんの作品は『パトレイバー2』辺りまでは
かろうじてついていけましたが、
前作の『攻殻機動隊』では完全に圧倒され
ほとんどさっぱりという状態で
ほんまにぼんやりとしか分かりませんでしたので、
今作も楽しみだなぁという感情はほぼなく
逆にしんどいなぁという気持ちで見に行きました。
僕ってこんなことばっかり・・・。
それでも見に行くというのはやはりオタクということでしょうか。

そして、予想通りしんどい話でした。
ただ、前作を見たときに比べて
僕自身に作品を切るための道具が多少増えていたおかげなのか、
それとも単に前作よりも分かりやすく作られていたからなのか、
かろうじてですがついてはいけましたので、
前作よりは印象が良かったです。
しかし、内容の難解さは仕方ないにしましても、
話の全体状況が掴みにくいのに加えて、
ストーリー自体がちっとも面白くないというのは気に入りません。
話を見せようという意思をほとんど感じられず、
「面白さ」という要素が全くないんですよね。
これが『パトレイバー2』までと
攻殻機動隊』以降との大きな違いですね。
(まあ、『パトレイバー2』もかなり微妙でしたけど・・・。)

しかし、内容だけを見ますと、
考えさせられることがかなり多かったですし、
個人的にはいい作品だったなぁと思っています。
少なくとも僕には、「イノセンス」という言葉が
ラストで強烈に伝わってきました。
ああいうことはあんまり考えたことがなかったもんなぁ・・・。
もちろんこれは単なる僕の知識不足によるもので
実はよくある考え方だったのかもしれませんが、
そういった問題に対する前提知識がほぼない僕にさえ
届いたものがあるというのはけっこうなことだと思います。

あとは、こういった内容とエンターテインメント性を
どれだけ融合させるか課題でしょうが、
製作者にそういう意思が全くなく
資金的にも問題がないのでしたら、
別にこんな感じでもいいのかも・・・。