瓦解(2)

(続き)

選手達にとっては、この状況を打破するための
最も手っ取り早い方法は言うまでもなく
よりレベルの高い海外リーグへと移籍することです。
しかし、Jリーグにとってその先にあるのは、
停滞しているリーグの中で
優れた選手に成長した数少ない選手は
次々と海外へと消えていき、
外からは優秀な選手が入ってこない、
という完全なる悪循環です。

それゆえに、個々の選手達とは別の視点で
つまり、リーグ全体を俯瞰する立場で
サッカー協会などがこの現状を
打破していかなければならないわけですが、
その努力が十分になされているとは思えません。
日本代表を強くすることをまず最優先にしているため、
選手達が海外移籍して成長するのならそれはそれでいい
という発想が根底にあり、
Jリーグの優先度が明らかに低く設定されています。
宣伝の力の入れ方から見ても間違いありません。

ユースなどの下部組織がせっかくしっかりしてきているのに
なぜその頂点にあるべきJリーグがこういう扱いなのでしょうか。
それは、Jリーグでさえも実は
単なるステップアップの舞台でしかないからです。
つまり、日本サッカー界においては
日本代表こそが頂点であり、
Jリーグもそのための下部組織でしかないのです。

しかし、これは元々Jリーグ自体が
そういう理念で作られてきたという経緯がありますので
ある程度はやむを得ません。
問題はいつまで経っても
その理念から離れられないところにあります。
W杯に出場という当初の目標が到達されてもなお、
日本代表を最優先に考え、
(商業的な問題が複雑に絡んでいるのでしょうが)
国内リーグの発展にあまり力を入れないという姿勢が、
Jリーグを単に日本代表の下部組織だけではなく、
欧州の下部組織へと向かわせようとしているわけです。

(続く)