nochmals u:berlegen (3)

(続き)

相良宗介は組織からの命令を優先し
大切な人千鳥かなめのそばにいたいという自分の意思を押し殺し
彼女から離れる。

このことを契機に彼女の存在の大きさに気付き
つまり、自己意識が強くなった結果、
かつて自己を持たなかった頃のような任務に対する集中力がなくなる。
そんな彼に対して仲間が叱咤激励するために放った
このままでは足手まといになるといった趣旨の発言に対して
何も考えられない彼はそのままその言葉に従い
組織、つまりこれまでの仲間から離脱。

かつての敵(?)と再会した彼は
現在の迷う腑抜けた姿を否定され、
昔の自己を持たず守るものがなく
それゆえに迷いがなく冷酷で強かった頃の姿を肯定される。
そして、同時に千鳥かなめの死を知らされる(実際は死んでいない)。

千鳥かなめが死んだと思い込んで絶望し、
またかつての敵に昔の自分を肯定されたことで
現在の自分にさらに迷いを持った彼は、
相良宗介抜きで任務に取り組む元仲間達の危機を知っても
何の行動も起こせない。

千鳥かなめ登場。
現在の強くそして弱い彼を肯定。
彼女の言葉に促されて仲間達を助けに行く。

仲間を助けに行った彼は
自分を軍人としての名称ではなくではなく
「〜高校の相良宗介だ」と名乗り(自己の確立)、敵を圧倒。
最後にはこれまでただ従うだけだった軍の上層部にも
自分の意見を言うほどになる。

まあ、かなり大雑把ですが
私から見たこの作品はこんな感じだったでしょうか。

では準備が整いましたので二つ目・三つ目に触れましょう。

二つ目についてですが、
相良宗介の価値観はまさに全か無か、
そして、その全か無かを決定するのは千鳥かなめ
彼女がいれば全、彼女がいなければ無
という極端なものに私は感じてしまいました。
彼の全ての価値観は彼女を起点に成立しており、
それゆえに彼女が欠落すれば全ての価値観が瓦解するのです。
そのように感じてしまったのは、最終話の冒頭における
仲間の危機に対しての彼の反応が原因です。

(続く)