die Flaute (2)

(続き)

これによって3人は思い出という夢の中に生き、
一時的ではあるものの安定を獲得していたのですが、
あくまで夢は夢、その場しのぎでありません。

美凪の母がみちるの死を認めることで
夢はついに崩れていき
みちるとして生きてきた美凪の存在が否定されます。
姉の悲しみに気付いたみちるは
往人に美凪を夢から醒ますことを頼みます。

<i>美凪はもう夢から醒めないといけないの</i>

みちるの想いを背負った往人に促され
母と向き合う美凪
このシーンで美凪の母が
家の中にいないで庭に出ていることの
意味がなかなか分からなかったのですが、
改めて見返すとその前に往人が
美凪の家を訪れたシーンでは
美凪の母は家の中に閉じこもってました。
つまり、家の中=夢の中という感じで
このシーンはおそらく美凪の母が夢から出ようとしていること、
必死に忘れてしまった娘美凪のことを思い出そうとしていることを
象徴しているんでしょうね。
(原作の細かいところは覚えていないのですが、
もしかしたらこれはアニメオリジナル演出かも・・・)
お互いが心を開いたことが最終的なきっかけになって
母と娘が向き合えたわけです。

ここまでは美凪美凪の母が中心の内容で
思い出という夢が逃避場所として描かれているわけです。

さて、美凪が夢から醒める
美凪の夢のかけらであるみちるが消滅する
ということを意味していました。
もちろん、こうなることが分かっていて
みちるは美凪の幸せを願ったのです。

<i>夢はいつか醒めないといけない</i>
<i>醒めない夢はいつか悲しみに変わっちゃうから</i>

自分の消滅と引き換えにしてまで
美凪の幸せを願ったみちるですが、
彼女にも生まれることができず、
母のぬくもりを知ることができなかった悲しみがあったわけで、
最後の一家での食事はまさに叶わなかった夢。
そして、それはみちるにとって最後の幸せな思い出。
(あ〜、この辺は観鈴シナリオを思い出す〜^^;)

(続く)